【アーチェリー】初心者の育成方法②〜射形指導のポイントとコツ〜
こんにちは、ケロクマです。
- 射形が感覚的になっているので、どうやって教えたらいいのかわからない
- 教えるコツを知りたい
- 最低限、射形で抑えておくべきポイントを知っておきたい
- 基本を教えられる自信がない
- 何から教えればいいかわからない
など、新入生や初心者の射形指導で悩んでいませんか?射形指導でどれだけ基礎、基本を教えることができるかで今後の伸びしろが大きく変わります。せっかく入ってきてくれた新入生や、アーチェリー を始めたばかりの初心者の方には上手くなってもらいたいですよね。
そこで今回は「初心者の育成方法②〜射形指導のポイントとコツ」について解説します。
前回の記事はこちら。
【今回の記事を読むメリット】
- 迷うことなくスムーズに射形指導をすることができる
- 自分自身の射形の振り返りにもなる
- 各動作の基本とチェックポイントがわかる
射形指導の流れ
まずは射形指導の流れをお伝えします。
- 左右のどちらで射つかを決める
- 猿腕のチェックをする
- 一通り射形の説明を聞いてもらう
- 一緒に動きながら射形で気を付けるポイントを説明する
- シャドーやゴム引きを繰り返し、基本射形を身につける
左右のどちらで射つかを決める
左右のどちらで射つかは、利き手ではなく「利き目」で決めます。利き目で判断する理由は、利き目でない方で弓を引くことになると、的を狙うときにサイトがずれてしまうため。
基本、右で射つ場合は右目で狙います。しかし、利き目が左の場合、左目でサイトピンを見てしまうクセがついているため、全く違うところを狙っていることになり外してしまいます。
猿腕のチェック
次は猿腕のチェックをします。射形指導前に猿腕のチェックをする理由は、猿腕の場合は押し手の腕を返す練習をする必要があるからです。
押し手を返すコツの詳細記事はこちら。私はめちゃくちゃ猿腕です笑
https://kerokuma-blog.com/oshite-kaesukotu/
一通り射形の説明を聞いてもらう
まずは、射形の説明を聞いてもらいます。このとき、聞くだけでは大切なポイントなどを忘れてしまうため、練習ノートを用意してメモを取ってもらいます。
そのため、射形の説明を聞いてもらうことから始めます。練習ノートの作成方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
https://kerokuma-blog.com/practice-note/
教える側の人は、後ほど紹介する各射形の基本をもとに説明します。
一緒に動きながら射形で気を付けるポイントを説明する
射形の説明が一通り終わったら、次は一緒に動きながら射形で気を付けるべきポイントを説明します。教える側の人はゴムを持ち、教わる側の人はシャドーをします。気を付けるポイントは、各射形のチェックポイントです。
もし、どうしてもゴムを使いたい場合は、強度が低いゴムチューブもしくはセラバンドを使いましょう。黄色のセラバンドは強度が低いためオススメです。
シャドーやゴム引きを繰り返し、基本射形を身につける
射形の説明が終わったら、後はひたすらシャドーやゴム引きを繰り返し、基本射形を身につけます。最初の10回は教える人の号令に合わせて1つずつの動きを確認しながらシャドーやゴム引きをします。
【号令で合わせる3つのメリット】
- 正しい動きを身につけるためにも号令で合わせた方がやりやすいから
- 2回で全ての動作の名前を覚えるのは難しいから
- 次の動作を覚えさせるため
号令で合わせた後、各自のペースでシャドーをしている時に間違った動きをしていないか確認もします。もし、違う動きをしていたら正しい動きに修正してあげましょう。ゴム引きをする場合は、ゴムの強度に注意する必要があります。ゴムの強度が強すぎると、ゴムの強さに負けてしまい変なクセがついてしまうからです。
オススメのゴムチューブとセラバンドはこちら。学校単位などであればロールで買うのがオススメです。セラバンドの場合は1人1mくらいに切断し、結んで使います。
チューブタイプだと、より弦を引いてる感覚に近くなります。また、バンドと違い熱でゴム同士がくっついたりすることがないため、ストレッチにも使えます。個人的には、チューブタイプがオススメです。
射形を教えるポイントとコツ
スタンスからフォロースルーまでの各動作を教えるときのポイントを解説していきます。教えるときは、各動作の基本をベースにしつつ、チェックポイントは、各動作ができているかの確認に活用していただければと思います。
スタンス
スタンスは3つありますが、まずは基礎を身につけるため「ストレートスタンス」を教えます。基礎が身に付いてからオープンスタンスやクローズドスタンスについて教えても良い。
- 両足を肩幅に広げる
- つま先を結んだ線が的の中心を通るように立つ
- 体重は左右均等にかける
【チェックポイント】
毎回同じ足幅、角度、向きを保てているかどうか。確認のために、足元に十時線を引いて立つとわかりやすい。通称:スタンスマーカー
スタンスは全ての基本です。安定した下半身はより安定した上半身を作ります。安定した下半身を作るためには、下半身の筋トレが重要。
セット(取りかけ、グリップ、胴作り、顔向け)
セットは、取りかけ、グリップ、胴作り、顔向けの4つの動作を合わせたもの。1つずつ分解して解説していきます。
取りかけ
取りかけは、弓に弦を取りかける動作のことを言います。また、弓を引く方の手を引き手と言います。
- 人差し指、中指、薬指の3本で弓を引く。
- 3本の指で鉤型(かぎがた)を作り、弦を取りかける。
- 3本の指の第一関節で弦を取りかける。
ドローイングで手の甲の向きが変わらないよう(手のひらが開いていこないようにするために)小指側を少し内側に回すようにして取りかける。
【チェックポイント】
- 取りかけの手の甲は垂直で曲がらないこと。力が入ると手の甲が山型になったり、反ったりしている。
- 手首に力が入っていないこと。力が入ると手首が曲がったり、反ったりしている。
- 弦が3本の指の第一関節にかかっていること。(浅掛けや深掛けになっていないこと)
グリップ
グリップは弓の持つ部分。また、弓を持っている方の手を押し手とも言います。アーチェリーで1番悩む部分の1つです。
- 親指と人差し指の付け根をグリップの面に当てる。(弓を持った時)
- 手首の角度は45度。
- 親指は的方向に向けて、他の指は力は入れない。卵を持つイメージをするといい。
【チェックポイント】
- プレッシャーポイントと手首の中心を結ぶラインがグリップの中心線と重なっていること。(弓を持った時)
- 親指と人差し指の付け根でピボットポイントを押せていること。
グリップについての詳しい記事はこちら。
胴作り
胴作りは、射つ前の姿勢確認をする動作のことです。
- 肩の力を抜き、背骨を真っ直ぐにして、力を入れずに自然に立つ。上から1本の糸でつるされている、もしくは通っているイメージ。(緑色の線)
- 肩、腰、足の向きを真っ直ぐにして立つ。(赤線)
【チェックポイント】
肩、腰、足の向きが真っ直ぐであると同時に背骨を真っ直ぐにして立てていること。特に肩や腰が斜めになっていないか(的に対して開いていないか)を確認する。腰が開いていると肩も連動して開いているため、正しい肩の位置で射つことができなくなる。
顔向け
的に顔を向ける動作のことです。現時点では、顔向けの細かい角度などを教える必要はありません。
- 頭の中心を軸にして自然に的に顔向けをする。
- 両目の高さを平行にする。(顔が傾いたり、上がったりしていないこと)
【チェックポイント】
- 頭の中心を軸にして自然に的に顔向けができていること。
- 首筋が張ってしまうくらい的に対して顔向けしていないこと。
- 両目の高さが平行であること。
セット
取りかけ、グリップ、胴作り、顔向けが完了し、弓を持ち上げる(セットアップ)前の動作のこと。
- 身体の右斜め前に押し手を持ってくる。(左は逆)
- 引き手は、取りかけから引き手の肘まで真っ直ぐにセットする。
手首が曲がっている状態。
- 引き手の肩(肩甲骨)が上がっていないこと。
- 腰は真っ直ぐのままであること。
セットアップ
弓を上げる動作のことをセットアップと言います。
- 手を持ち上げる前にストリング(弦)を少し引き、グリップ、取り掛けの確認をする。このとき、身体の中心を動かさないようにして両手を持ち上げる。
- 胴作りの時の肩の位置関係を保ったままセットアップする。
- 引き手の肘は目の高さで矢の先端と一直線にする。
【チェックポイント】
- セットアップする前にグリップと取り掛けの最終チェックをおこなっていること。
- 弦を1/3引いたまま身体の中心軸を動かさず両腕を持ち上げていること。
- セットアップで身体が的側に開いてしまわないこと。
- 肩から弓を持ち上げていないこと。(身体で弓を持ち上げていないこと。肩から弓を持ち上げると、肩が上がっていたり、肩甲骨が上がっている。大袈裟にいえば肩をすくめている状態。)
- 引き手は目の高さで、矢の先端から引き手の肘まで真っ直ぐであること。
- 顔向けの形が崩れていないこと。(目の高さが平行のままであること)
【グリップと取りかけの最終チェック】
- グリップ:プレッシャーポイントを押した状態であること。(プレッシャーポイントに対してグリップができていること。)
- 取り掛け:手首に力が入っていないこと。
セットアップ後に取り掛け、グリップの位置は動かさない。
ドローイング
セットアップから弓を引いてくる(引き分ける)動作のことをドローイングと言います。
- 押し手:肩が上がらないように脇腹の下の辺りで支える。サイドプランクで支えている筋肉を使います。
- 引き手:矢の延長線上に引き手の肘を引いてくる。
- 手の甲の向きが変わらないように、指先に力が入らないように注意する。
【チェックポイント】
- セットアップ時に作った押し手の肩の位置を保ったままスムーズに引くことができる。
- 引き手の甲の向きを変えずに真っ直ぐに引くことができる。
- 指先と手首がリラックスした状態であること。
アンカリング
ドローイングで引いてきた引き手をアゴの下につける動作のことをアンカリングと言います。アンカリングには、センターアンカーの他にサイドアンカーもありますが、基本段階ではセンターアンカーを教えます。
- 顔が動かないこと。(迎えにいったり、下を向いたりなど)
- アゴの骨の下に引き手をしっかりと入れ、アゴの先端とストリングと人差し指の交点を常に一定の位置に固定する。
- 引きを止めずにそのまま小さく引き続ける。
- 押し手の肩は、負けてこないようドローイング時の力の入れ方を引き続き保つ。
【チェックポイント】
- 顔向けした状態を崩さずにアンカーリングできる。
- 引き手の肘が矢筋に対して真っ直ぐであること。(赤線)
- 引き手をアゴの下につけることができている。
エイミング
エイミングとは、アンカリング後の伸びの動作のことです。
- セットアップで決めた肩の位置を保ちながら(身体を回転させない)
- 引き手の肘を締めながら背中のほうへ回すように伸びる。(引き手の肘に何かを挟むイメージをするとわかりやすい)
- 押し手は左の首の付け根から背中あたりと脇の下あたりの筋肉を使って的方向に押しを保つ。
- 押し手と引き手が50%ずつの割合で伸びる。
- エイミングは3〜5秒。時間をかけないこと。
- 焦点は的に合わせる。
【チェックポイント】
- 右目で的に焦点を合わせることができる。(左は逆)
- 押し手と引き手のバランスを崩さず、真っ直ぐにスムーズに伸び合うことができる。
- 伸び合いの時に顔向けの位置が崩れないこと。(顔が上がったり、下に向いていったり。)
引き手が強すぎると上半身が引き手側に寄り、押し手が強すぎると上半身が的方向に突っ込む。写真の場合は、体幹を鍛えるか押し手側に重心を置く意識をするとよい。
正しい状態は、身体が真っ直ぐのままであること。
リリース
弓を離す動作(射つ)のことをリリースと言います。
押し手の肩の力と引き手の引く力を抜かないように注意しながら、取り掛けの指先の力のみを抜く。
【チェックポイント】
- スムーズに弦を離すことができる。(グーパーではなく、指だけで弦を離すことができる。)
- リリース後、引き手の肘が開いたり、極端に下がったりしない。
- 身体の中心線、両肩、顔を動かさないでリリースができる。
初めのうちは、パーを出す、もしくは親指と小指を開くように指先を伸ばす方法でもOK。少しずつ切り替えていきましょう。
フォロースルー
弓を射ったあと、的に対して残像を残す動作のことです。
- リリース終了時の形を2〜3秒保ってから終わる。(押し手と引き手をまっすぐ残す。)
- 押し手、両肩、引き手の肘を一直線で保つ。
【チェックポイント】
リリース終了時、引き手の肘、両肩、押し手を一直線で保つことができる。よくあるのが、引き手の肘が極端に下に下がったり、押し手が落ちること。
仮にリリースをミスしても、フォロースルーは正しくとって終わるようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。基本射形を教えるときのコツ&チェックポイントを解説しました。
本日のまとめ
【射形指導前にすること。】
- 左右のどちらで射つのかを利き目で決める。
- 猿腕チェックをする。
- 練習ノートを用意する。
【射形指導のコツ】
- 射形の説明を一通り聞いてもらう。
- 2回目から一緒に動きながら1つずつの動きについて説明する。
- 説明後、10回ほど号令でシャドーもしくはゴム引きする。
- 号令後は各自でシャドーとゴム引きを繰り返す。
今回解説した基本とチェックポイントをもとに射形指導を進めていけば最低限の基本は身につきます。何事も基本が身につかないと応用はできません。基礎を身につけられるかが上手くなるかの分かれ道です。ただ、一気に全てのチェックポイントをクリアするのは難しいため、少しずつクリアしていきましょう!
基礎が身につくまで時間はかかります。粘り強くやっていきましょう。次回は、「弓を持ったときの射形を教えるコツや練習方法」について解説します。
それでは、また次回ブログで!
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